日向さん

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日向さん

『長峰くんってほんとに今フリーなの?』 『あ、おかわりなに飲むー?』 『かわいいと綺麗めだったら どっちがタイプ?』 囲まれて、質問攻め。 ……どーでもいい。 受付に無理矢理連れてこられた合コンのメンバーは受付の先輩と営業の男の先輩だった。 『おい!長峰!先輩差し置いてモテるな!』 『あ、安田さん。ここ席代わりましょうか?』 『えーやだ!』 『長峰くん行かないで!』 『えー……やだぁ!って ひどいよねー?亜里沙ちゃん。』 『え?あ、ちょっと待ってください。 あ、ビール2つとカシオレとハイボールとカルアミルクお願いします。 あと取り皿もう3枚と…このお皿下げて下さい。』 『はーい。お下げしますねー。』 意外にも 受付はてきぱきと注文したり さりげなく料理を取り分けたり 空いたグラスは下げ 会話もそこそこに黒子に徹していた。 『えっとビールは…』 『はいはい!オレオレ。』 『あ、安田さん。どうぞ。』 『ありがとー!亜里沙ちゃん!』 安田先輩はちゃっかりグラスを持つ受付の手ごと握った。 受付の眉毛がピクッと動いたけど 『………も、もぉ~安田さん。 びっくりするじゃないですかぁ……』 ひきつりながら、なんとか愛想笑い。 『びっくり?ドキッじゃなくて?』 『あ、あはは……』 ゾワッて感じだったけど。
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