無地

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「その顔は昔と変わらなくて良かった。」 そう言いながらレンが笑った。 こんな風に頬が動いたのは確かに、レンと毎日一緒にいたあの頃以来かもしれない。 「最初マジで死んでんのかと思うよーな顔してるし、  心臓停まりそうになったわ。」 「ごめん。」 「すぐ喋ったから生きてるって分かったけど」 「うん、生きてる」 言いながら、あぁ、自分は生きてるんだなと、妙に納得して、安心して、気が抜けた。 そしたら、頬が物凄く熱く感じた。 涙だった。 冷えきった頬に涙がやたら熱く感じて、改めて自分は生きてるんだななんて思ったら余計に泣けてきて、止まらなくなった。 「いやいや、え、なんで泣く?情緒不安定か」 ワタワタしてるレンが可笑しくてさらに涙が出た。 「アハハ、確かに。まさしくそれだ。情緒不安定。」 その瞬間、 ──なーんだ、そんなことか 焦るレンを見ながら、ストンと心に何かが戻ってきた感覚がした。 そしてそのまま おもしろいから、 もう少しだけ笑いながら泣こうと思った。
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