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あんこ頂上決戦では、各々があんこを使用した菓子・料理を持ち寄り、プレゼンをする決まりとなっている。第1回の時点ではそういう決まりは無かったのだが、第2回のときに俺がおすすめの白あんぱんを持ってきたら、「議論じゃなくて実食ありとかそんなルール聞いてない」と2人ともキレたので、それぞれが武器という名のあんこ料理を持ち寄る今の形ができた。
ばん!と擬音が付きそうなほど、正太郎は堂々と紙袋を差し出してくる。茶色の袋には『山田屋』と大きく書かれていた。山田屋と言えばメロンパンひとつにしても500円近くする、駅前大通りのお高いパン屋だ。
正太郎のやつ、学校に内緒でファミレスバイトしてるからって、こんな高い店のを。俺は料理研究同好会、由実さんは美術部なのでバイトはできないし、そもそもうちの高校はバイト禁止であった。だが、戦いの勝敗に財力の差は関わってくる。俺は月5000円のお小遣いをゲームの課金に費やしてしまったことに、後悔の念を抱いた。
小さく、由実さんが息を吸う。
「ちょっと山田屋って銀行の隣の? あそこって改装中でしょ。営業再開って確か……」
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