4880人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれ、おかしいなぁ……」
誰もいない文書保管室で
私は探しものをしていた。
渡されたメモの書いてある番号の資料が入った箱を見つけられず
室内を何度も回りながら
一段一段、棚を調べていた。
この依頼は一課の芹沢さんだ。
『明日使いたいから出しておいてくれるかな。俺はこれから外回りで戻りが遅いんだよね。アリサちゃん頼むよ』
『分かりました。出しておきます。あの、芹沢さん…前からお願いしていますが名字で読んでいただけないでしょうか…その、他の方々に不快な思いをさせたくないので…』
『はぁ?こんなことで不快になる奴いるの?アリサちゃん気にし過ぎだってー。じゃ、頼んだよ』
芹沢さんは私の言葉に
被せ気味の声で否定すると
私の肩にポンと手を置いて
カバンを持ってエレベーターホールへ
歩いていってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!