4863人が本棚に入れています
本棚に追加
/246ページ
─────私が部署移動をしてから
半年が過ぎようとしていた。
本城さんの言う通り
海外営業課に暇(いとま)はない。
繁忙期とそうでない時の波があるらしいが、
日々スケジュールは詰まっていて
それこそ資料保管室に一人で
一時間も留まっていられない。
『サボりか?』と
内野さんがあの日の私を
からかったことがよく分かった。
私の直接指導担当は
内野さんの後輩男性、小川さん。
私とは違って新卒で入社してすぐ
この海外営業課に配属された、
真のキャリアコースを行く人だ。
内野さんの考えや癖をよく分かっていて
気の利いたアシストを
日々さり気なく、こなしている。
フットワークスピードがあって
斉賀さんとも組んだりする。
けれど、それを鼻にかけたりしない
控えめな人だった。
「小嶋は『チーム内野』になりそうだね。内野さん、時にメチャクチャな働き方や物言いをするけど、それが普通だからびっくりしないようにね」
あははは、と彼は気軽な声を掛けつつ
人当たりのいい笑顔をみせた。
最初のコメントを投稿しよう!