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海外営業チームと国内営業二課とは
常駐フロアが異なるので
古巣の面々と顔を合わせる機会は少ない。
ある日のランチタイムに
本城さんと野村さん
…皆は『ノム』とか『レイ』と呼んでいる…
三人でランチに外出するときに
エレベーターで二課の先輩と乗り合わせた。
本城さんは普段のように話をする。
「今日は何食うかな。ノム、選んでいいぞ」
「そうですねー…何がいいかしら。小嶋に合わせるわ。小嶋、選んでいいわよ。」
「えっ、私ですか?…えっと、じゃあ○○○の日替わりランチはどうですか。今日は水曜だから和食の日ですよ」
「お、良い提案だねー。情報持ってるな。感心感心」
「いいじゃない、和食!煮魚定食あるかしら?」
…それは本城さんとレイさんにとって
ごく普通の何気ない会話だった。
でも同じ庫内にいる先輩には
大きなインパクトがあったと思う。
私が海外営業課に異動したこと
そこで順調に働いていること
仲間として受け入れられていること
お昼ごはんは一人じゃないこと。
その現状を示す会話だった。
私のランチ用ミニバッグは黒のまま。
だけど今は
レイさんからもらった
ジルスチュアートのイニシャルチャームが付いている。
先輩はそれに気付いたようで
俯きながら見つめ、黙っている。
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