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「煮魚、あると思います。この前内野さんと小川さんでランチに行った時に食べました。内野さんが美味いって」
「へぇ。ホント?魚好きの男が褒めるなら、味に期待できるわね」
そんな、ごく普通の
『仲間同士の』何気ない会話。
それが海外組に憧れを持っている
先輩のプライドを引っ掻いた。
大きな溜息をついて、ツンとした表情を見せる。
彼女が不愉快オーラを出すときの
お決まりだった。
けれど誰も、気に止めることはない。
階下に到着、扉が開くとすぐ
一番奥にいた先輩は
前に立っていた私をかすめながら、
足音を大きく響かせて
素早く出ていった。
ああ、滑稽だなぁ。
あんな人に支配されていた自分も
とても小さかった。
私は、控えめに笑って
小さな仕返しに満足した。
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