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流されていった。
女子社員同士の見えない線引きは
『気にしない』
『職場は仕事をするところ』
『相手にしなければいい』
基本的な精神論を軽く超えてきた。
噂、中傷、それから……夕方になると回ってくる
期限の迫った書類の山。
お昼ごはんもデスクで取りながらになり
やがて、終電に走って乗る日々に変わる。
私、こんなはずじゃ……。
自分と向き合って、崩れてしまうのが恐ろしくて
ひたすらに頑張りながら
愛想笑いを繰り返す日々もやがて行きづまり
それを押し返そうとすればするほど
感情が破裂しそうになる。
現実にひからびていく。
そんな日々はもう、続かなかった。
────そんなある日だった。
海外営業部の数人と
エレベーターで乗り合わせた。
内野さんは居らず、本城部長と綺麗な女性。
そして、背の高い男性がパネル前に立ち
エレベーターを動かしていた。
すっごいオーラ。
圧がすごい。
でも、嫌なものではなかった。
自分に自信のある人たちのオーラ。
人を傷つけるものではない、
パーソナルスペースを尊重する圧。
すごい。
私のいる場所にはない濃い酸素のような
居心地の良さを…不思議とを感じた。
「なんだっけ、ああ、気になって会議どころじゃないよ」
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