4853人が本棚に入れています
本棚に追加
/246ページ
#5
「………それは無謀じゃない?」
土曜日のランチ会に
集まった友人二人から
まだ咲かぬ花の蕾を折られたような気がして
私は返す言葉をつぐんだ。
それを見た…私の正面に座るアユミは
「どうしていきなりそんな大物に手を出そうと思うのか、まずはそこから聞きたいよ」
お昼の情報番組に出演する
熟練コメンテーターのような口調で
たたみかけてくる。
その流れに乗って
私の隣に座るトモカは
冷静な声で言う。
「しかも相手は直属の上司。今まで聞いた情報じゃ、周りを黙らすクールな仕事力、王道なイケメンの独身。社内恋愛はしない主義を公言……つまり職場の人間は眼中にないって、つまらないトラブルを寄せ付けないように予防線を引いてるってことでしょ。出来る男の最善策だよねー。一方アリサ…アンタは、周りを誤解させる見かけと違ってメンタル奥手だし…恋愛経験値、仕事力、レベル草じゃん。望み薄過ぎ。憧れだけにしといたほうがいいと思う。職場も仕事も、今はやりがいがあって楽しいんでしょ?」
最初のコメントを投稿しよう!