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「では、まずは自己紹介でもしましょうか」
先程と同じように、黒いテーブルクロスが敷かれた机を挟んで僕たちは座る。
此処はまるで占い師の館かのような内装をしている。だがここは、僕が勝手に営むいわば『何でも屋』と呼べる場所。今は『CLOSE』の看板を出しているし、彼女以外に訪れる人はいない。思う存分、僕の好奇心をくすぐったこの少女と会話ができる。
「は、はい!碓氷愛來と申します。不束者ですが、よろしくお願いします……!」
彼女――碓氷さんは随分と緊張した面持ちで言った。深々と下げられた頭を見て思わず苦笑する。
「あはは、まるでお見合いですね」
「す、すみません……」
「いや、謝らなくていいですよ」
勢いよく頭を下げたり上げたり、忙しい少女だ。病弱だというのに勢いのあるその姿勢に思わず笑みが零れる。体が弱いというのが嘘ではないかと思うほど、彼女は快活そうだ。
「失礼ですが、お歳は?」
「えっと、17歳……高校三年生です」
「ありゃ、同い年?」
「え!?貴方も高校生なんですか!?」
「そうですよ。誕生日が来たのでもう18になりますが」
これまた驚いた。あどけなさの残る顔立ちや雰囲気から、勝手に年下だとばかり思い込んでいた。確かに此処に入ってきた時とかの立ち居振る舞いは、妙に大人びていた気がする。そう考えれば、同学年だというのも頷けるか。
「同い年なら、タメでいいですか?」
「は、はい!大丈夫ですよ」
堅苦しいのは面倒だ。たとえ依頼人であろうと、同学年であるなら敬語は抜きにしたい。無礼であるのを承知で訊ねてみれば、彼女はあっさりと許可してくれた。
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