そうしたら

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朝。  目が覚めると、空の薬瓶が2つ、それに腕に赤い線が何本も走ってきた。  しゃっきりしない頭で、(あぁ、昨夜ODしたのだっけ)と考える。薬の副作用と狭いところで寝たせいか全身が重く筋肉痛であった。 片付けを始める。  薬のパッケージなどを捨て、なぜか脱いでる服や布団をきちんと畳む。 立ち上がる、と、薬がまだ残っているのかフラりとする。危ない、と思っているところに電話がかかってきた。 這うようにして移動して携帯電話を手に取る。 「もしもし?」 「おはよう、美紀だけど。あんたまたODしたのね?書き込みでわかるわ」 「そうみたい…毎回毎回ごめんね?」 「ま、無事ならいーわ、じゃあね」 ツーツーツー 美紀からの電話が切れた。いつも優しい癖にぶっきらぼうなわたしの女友達。 他に迷惑をかけているところがないか、投稿サイトやメールなどを確認する。よかった、どうやら美紀だけがわかっただけらしい。流石わたしの親友。  美紀は、さっぱりとした性格の女だ。仕事でも人間関係でもさっぱりとしていて、なぜうじうじと悩みやすいわたしと親友なのか不思議なくらいである。きっとわたしのことはわたしのことで美紀の中で安定しているところがあるのだろう。 美紀とは高校からの仲で、もう10年くらいの付き合いになる。昔から芯の通ったさっぱりとした性格をしている彼女は、特に目立つことをしなくても一目置かれる存在だった。今も会社ではかなりの立場にいるらしい。彼女は大事な親友で、わたしの憧れでもある。  シャワーを浴びて、丁寧にボディミルクをつけてから、下着と、ゆるっとした部屋着を身につける。ミルクティーを飲んで一息つく。 時計を見ると、もう13:30だった。軽くお化粧をして、服を着替え、近所の安いファミレスに向かう。  子供連れや中高生で混んでいて騒がしいファミレスで、ゆっくりとスープと小さなパンを2つ、それにサラダとピザを食べる。わたしは朝と昼はしっかり食べることを好む。お腹が膨れると安心する。だけどいつも、ほんの少しだけ心が満たされて、そして一瞬で虚無感を味わうのだった。生きていたくなどないのに食べる意味とは。  ゆっくりと食事を終えてファミレスを出ると、無性に声を出したくなって、カラオケ店に向かう。行きつけの安いカラオケ屋。安いわりにはどの部屋もそこそこ綺麗で最新の機種も揃っていて、ドリンクの種類も豊富だ。お気に入りの場所。
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