一、白き終焉

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 梅宮の過剰な反応に、逆にもしかしてと淡い期待を寄せてしまったのは、いつだったろう……。  むしろ俺は、彼女を拒絶したあの時以前から、彼女に対して特別な気持ちを持っていたのかもしれない。  確かに、小さな梅宮を情欲の相手として見たことはなかった。  しかし、他に向けたことのない無二の情愛を彼女に対して抱いていたからこそ、我が理想だと過剰に入れ込むこととなったのであり、そしてまた、裏切られたと勝手に解釈し、激烈に落胆し憤ってしまったのではなかろうか。  君主になるべく成長を続ける梅宮を高く評価してはいたが、俺の望みは、梅宮を帝にすることだったのか。  俺はもしかして、梅宮をただ……  こんな問いは、かなり今更だ。馬鹿馬鹿しく、女々しいことこの上ない。  大体にして、梅宮自身、帝になるために俺が必要だと言っていたではないか。  本当に?  いや。全てが今更だった。  今となっては、ただ、梅宮の命を救ったのが自分だというそれだけが、俺の誇りであり、慰めだった………     
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