一、白き終焉

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「では、純粋に随従として私をお望みなのですね」  梅宮に不躾な視線を放ち、真意を探る。  いや、そこにどんな真意があろうと、梅宮に縛られるつもりなど実は毛の先程にもなかった。  根本的に、この国に留まる理由すら俺にはない。この国でこんな職に就き勤めているのは、全くの偶然だ。いづれまた、偶然に流されて知らぬ土地を歩いていくつもりだった。  俺の根無し草的気安さへの拘りを知っているのか、梅宮は俺の質問に斜めから返してくる。 「わたくしは、ツヅ様を手離しはしません」  決然と言い切る姿の突き抜け感が可笑しい。俺の心情から遥かに乖離した勝手な主張に、嗤いが沸き上がってくる。  いや、笑っている場合ではない。顔の筋肉を引き締めて、俺はわざと堅い声音を作った。 「私は私の場所を誰に強制されるつもりもありません」 「強いるつもりはございません。強制したところで心が此処になければ意味などありませんでしょう」 「どのように私を引き留めるおつもりですか」 「先生に、わたくしの元にいたいと思っていただきます」 「……その手段をお聞きしているのです」 「……お願い申し上げます」  ぶはっ。思わず吹いてしまった。  いやもう、どんどん噴き出す笑いを堪えられない。     
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