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莉「ここは、私の家よ。あなたは、私の部屋の前に倒れていたの。なぜここにいるのかは
私の方が聞きたいくらいだわ。」
?「、、、!そうだ、少し思い出した!俺はどこか暗いところで、後頭部に痛みが走っ て、、、とにかく怖くて、逃げようとして、妙な扉を見つけて、、、それで、、、。」
莉「え?じゃ、じゃあ、この家の中で誰かに襲われたと言うの?」
この家にそんな暴力的なことをする人はいないはず。
まさか、この男以外にも、誰かが入り込んでいる、、、?
?「襲われた、、、かは分かりません。でも恐怖を感じていたのは確かです。」
そういうと、男は少し冷めたスープを一気に飲み干した。
莉「そ、そう、、、。ところで、自分の名前とかも、分からないのかしら?」
動揺を隠すように、カップを受け取りながら尋ねた。
?「えっと、、、。あ、ポケットに何か、、、学生証?」
『聖マリア学園高等部3年 大谷翔(おおたに しょう)』
莉「どうやら、名前は翔、というみたいね。」
翔「みたい、、、です。あとは、高3、、、18歳、、、かな?」
莉「じゃあ、私より1つ年上なのね。」
翔「莉愛さんは、17歳なの?」
莉「莉愛でいいわ。そうよ。」
翔「あ、はい、、、。じゃあ莉愛は、高2か、、、。どこの学校に通っているんです か?」
莉「あ、いや、、、敬語じゃなくても、、、。学校には、通っていないの。体が弱いか ら。」
翔「あ、じゃあ、タメ語で、、、。あ、あとごめん、変なこと聞いちゃって。」
莉「いいの。本当の事だし。それより、あなたの事もっと教えて。私、この家から出たこ とないから、退屈なの。」
翔「え、、、。」
莉「嫌かしら、、、?」
翔「ああ、いや、そうじゃなくて、、、俺、いつまでもここにいる訳にも、、、。この家 の人にも悪いし、、、。」
莉「ああ、この家の主は私だし、使用人にはあなたのこと、言っていないから心配しない で。それに、、記憶がないんじゃ、家も分からないじゃない。」
翔「、、、莉愛、もしかして、お嬢様、なの?」
莉「使用人はそう呼ぶわ。よく分かったわね。」
翔は唖然とした顔をしている。
翔「ああ、家から出たことないって言ってたもんな。そりゃ分からないか。」
翔は笑った。初めて見る、彼の笑顔。
でも私には、なぜ彼が笑うのか、分からなくて不思議だった。
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