第2話 夢

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「だがそれにはお前らはあまりにも弱く 頼りない! 夢は歩き出すものにしか叶えられない!お前らはまだその足すら持たない卵 孵ってもせいぜいよちよち歩きのヒヨコがいい所だ!」 「その為の足を 高みに羽ばたく翼を俺が授けてやる。」 ヌエコがニヤリと笑い 竹刀で床に一筋の線を描く! 「さぁここが分かれ道だ!この線から一歩前に出たならお前達の夢を叶える術を教えてやる!それは身の毛もよだつ鍛錬と終わる事なき闘いの螺旋に身を置くという事!」 「言っとくが途中で辞めたは無しだ!誰一人欠けることなくプロレスラーになって貰うぞ...じゃねぇ神妖ノ門は終わりだ!去るもの追わずが出来るメジャーじゃねぇんだ!一蓮托生 運命共同体!上から血反吐 吐いて 下から血便出ても逃げられない! 」 「それが嫌なら悪いが帰ってくれ!そんな奴を面倒見る程余裕も無いし 中途半端な覚悟の奴は本気の奴に害でしかない!」 「さぁ選べ!誰でも無い!己の意思で道を選べ!安定とやすらぎか 苦痛と苦難か!」 「もし苦痛を選ぶというなら俺はトコトコ付き合ってやる!例えこの体がぶち壊れようともな...お前らが夢を叶えられるレスラーになり この団体をもう一度蘇らせるそれが俺の夢だ!!」 ヌエコの熱い言葉に圧倒される4人 それと同時に震えていた。 まだ少女といっても差し支えない4人に自ら荒れた道か平坦な道かを選ぶ機会などまず無い。 普通の少女ならそんな一生を決める決断を迫られ怯えない訳が無い。 そう...普通なら しかし彼女達は未熟とはいえプロレスラーだ。 誰かが言った 「レスラーは超人」と 4人が震えていたのは武者震い!既にレスラーとして生きる覚悟は出来ていた。ただその道が闇に閉ざされていただけ。 その闇をこの魔獣が晴らし その先に広がる夢へと続く茨道に誘っている。 4人は誰からと言うことも無く安寧と苦痛の境界線を跨ぎ血みどろ汗みどろの世界に一歩踏み出した。 ヒカル「よろしくお願いします!!」 ミサト「怖いなぁ...でも頑張ります!」 イオリ「上等だぁ!!」 トウカ「やるしかない...絶対...夢を叶えるんだ!!」 「ふふふ...お前らいいぞ...気に入った...思ってたより根性座ってるじゃねぇか...」 ヌエコは不敵に 邪悪で 歓喜に満ちた笑顔で4人を見詰める。 運命の師弟が生まれた瞬間である。 「さぁ...夢を見ようぜ!」 「「「「はいっ!」」」」
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