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「レーヴェ、なんてことを……!」
悲鳴に近い声を上げる母を私は見上げた。
だが、顔を見る前に「お前は追放だ! 村から出ていけ!」という母の叫びと共に何かに縛られ、目隠しをされ、私の動きは封じられてしまった。
目隠しをされる寸前、私が一瞬見えた母親の表情。
少し口角が上がり、勝ち誇った微笑みに見え
唇の隙間からは悲しさに満ちた言葉が吐かれていたが
その両目からは、興奮した色が見えはしたものの、涙のような滴は一滴も見えなかった――
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