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緑ばかりの場では目立ちすぎる水色のローブを纏った少女は、森の中を歩きながら手頃な小枝を拾い、風を切る小気味いい音を鳴らしながら小枝を振る。鼻歌を奏でながら上機嫌に歩を進める姿は、ただ散歩をしているだけのようにも見えた。
レーヴェは少し歩くと、色とりどりの実を実らせた木々が並ぶ場所にたどり着いた。
『赤い木の実は食べれるものと食べれないものがあるの。一番簡単な見分け方はね――』
「木の実の汁を虫にたらす」
祖母の教えを復唱しながらレーヴェは赤い実に向かって先程拾った小枝を振る。レーヴェの頭から2メートル程離れた実はプチっと軽い音を立てて、3個程レーヴェの元へとふわふわ飛んできた。
3つの赤い実は丁度レーヴェの掌に全て乗る程度の大きさだった。
レーヴェは一つだけ小枝でつつくと、木の葉の上で一心不乱に葉っぱを食べている芋虫の上にふわふわと飛ばし、小枝をくるんと回し円を描いた。
すると、赤い実から一滴の液が垂れ、毛虫の上に落ちた。
毛虫は吃驚したように顔を上げたが、それは一瞬で、またすぐに葉っぱを食べ始めた。
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