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館内に入ると前から順に一年、二年とクラス毎に整列していて、その流れに便乗するように三年である自分たちも列を作っているところだった。
広い体育館がセーラー服姿で埋め尽くされる光景を見て、改めて羽澄は自分が通う学校がマンモス校だと実感した。
「あ! 羽澄じゃん。久しぶり!」と、今度は見慣れた顔の友達から挨拶されて、羽澄は嬉しそうに手を振った。声をかけられるなら、知らない人よりも友達の方がはるかに良い。
「三年! 早く整列しろ」
体育館の端の方から、滑舌の良い和泉先生の声が聞こえてきて、反射的に羽澄の背筋がピンと伸びる。何の縁があるのか、三年生になっても担任は和泉先生になった。
和泉先生とは初芝女子校の美人教師として有名だ。
すらっとしたスタイルに、「どうやって手入れしているんですか?」と聞きたくなるような艶のある黒い髪。
すっと通った鼻筋に、二重の大きな猫目には、いつも生徒たちのことを見守ってくれている温かさが詰まっている。が、何度も言うが怒るとほんとに怖い。
見た目、中身と共に生徒たちからの人気は高く、しかもこの生徒たちというのは何も初芝女子校の事だけではない。
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