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「まあ情報と言っても特に目立ったものはないですが……、何やら前職はIT企業の社長をしていたようですね」
「うそ! 先生やってたわけじゃないの?」
明里が目を丸くして驚いた。
「はい。それと非常勤で大学の講師もしていたようです。かなり異色な先生であることは間違いないですね」
「なんか才能溢れるって感じで素敵じゃん!」
「そう? 先生してなかったってことは、教えるの下手くそかもよ」
反射的にことごとく揚げ足をとってしまうようで、羽澄は明里の言葉に小言で返した。隣では結衣が、「あの先生って何かの動物に似てるんだよねー」とまったく異なる視点で夢中になっているようだ。
周りを見渡せば、明里と同じように興奮した口調で大澤先生について話すセーラー服の少女たち。そんな様子を見ながら、羽澄はため息をついて肩を落とした。
これは当分この話題で持ち切りになるだろう。
どんな先生が来たとしても興味はないけど、願わくば、前の先生よりかは簡単なテストを作ってほしい。
盛り上がるクラスメイトたちの中で、羽澄は別のことに期待していた。
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