忍び寄る影

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仲間がいた安心感と負けてられない闘争心に挟まれながら、約一ヶ月ちょっとぶりに自分の上履きとご対面。よろける身体を支えて靴を履き替えると、迷わずもう一度ロケットスタートを切る。 日々朝から猛ダッシュしてきたおかげか、途中で二人くらいの生徒を抜かして階段へと向かう。一階……二階……、やっと辿り着いた三階では、すでに今日一番の酸素不足。溜まった乳酸が太ももをいじめてくる。 「やっと……やっと着いた……」 まるで戦場からの生還者のような足取りで教室のドアを開けると、いつものメンバーの顔が飛び込んできた。 「遅い!」 おはようの代わりに明里の激が飛んできた。「ごめん!」と返事をして辺りを見渡せばクラスメイトがほとんどいない。 「あれ? みんなまだ来てないの?」  ぽかんとした顔で羽澄が言うと、明里が大きくため息をついて肩を落とす。その隣では結衣と翔子が苦笑いをしている。 「体育館。始業式でしょ」 滑舌良く始業式と発音する明里の言葉に、「そっか!」と羽澄はぽんと手を叩いた。 「そんなリアクションはいいから早く鞄置いて準備して! 和泉先生に怒られるよ」 今全力で走って来たところなのに……。呆然とした表情で羽澄が突っ立ていると、明里と翔子に両腕を引っ張られる。 「わかったわかったから! 鞄だけ置くからちょっと待って」     
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