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「いいじゃん、事実なんだし」と平然と突っ込みを入れてくる明里に、「まあ、そうだけど……」と羽澄が口ごもる。そう、間違いではない。すべては自分と拓真との関係を守るために行ったことだ。
羽澄は「もう」とぶつぶつと言いながら明里から視線を逸らすと、再び目の前を向いた。体育館へと向かうセーラー服の群衆は、去年見た光景とまったく同じ。そんなこと考えながら、羽澄はあの日々の出来事を思い出していた。
一年前、沙織をエロ教頭の魔の手から救い出した後日、今度はあろうことか自分が同じ窮地に立たされることになった。
拓真と付き合うことができて浮かれていた私は、人気のない公園でかなり恥ずかしい姿をエロ教頭に目撃されてしまったのだ。
それまで教頭に対して優位に立っていた自分のポジションは音もなく崩れ始め、再び初芝オーシャンズのメンバーが集結して、「リーダーを救え!」というセカンドミッションが始まった。
この時も策士である翔子の名案によって、初芝女子校の恒例行事である生徒議会を乗っ取ろうというかなり大胆な作戦が発足された。
その作戦とは、議会のテーマを「校則」という的に絞り、我が校に通う女子生徒たちを百三十年間苦しめた魔の制度、「恋愛禁止」の法律を撤廃させることだった。
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