<第二話>

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――え、なに?なに?  原因に気付くには、少しばかり時間を要した。何故なら。 「ミーティング前に、みんなの練習メニュー配りますねぇ~」  “彼女”は当たり前のように溶け込んで、そこにいたから。その手が配っている用紙を見て、皐月ははっとして自分のバッグを見た。  そんな馬鹿な。それ以外になんて言えただろう。  昨日皐月が監督に渡されて、みんなが使いやすいようにまとめた練習メニューのプリント。朝確かに、ファイルに挟んでバッグに入れたのを覚えているのに。  なんで、彼女が持っているのか。  どうして、自分の鞄から消えているのか。 「八代さん、ありがとう。いつも八代さんの指摘は的確で本当に助かってるよ」  明るい茶髪に長い髪の、皐月には全く見覚えのない“彼女”に。九条が、まるて既知の仲であるかのように親しげに礼を言っている。 「いえいえ、どういたしましてー!マネージャーならこれくらいするのは当然ですから。ねえ?」  そして、彼女は。呆然と立ち尽くす皐月を見て、言ったのだ。 「そうは思いませんか、一ノ瀬センパイ?いつまでもそんなとこに突っ立ってないで、仕事してほしいんですけどー?」  それが、皐月と。  夢見の魔女――八代ここあとの初対面だった。
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