4.小説家さんと大福

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「それとね、フミさん。仕事忙しいの分かるけど、毎日会いたい」 「毎日、毎日ですか?」 「ダメ?」 「えっと、ダメじゃない。ですけど」  えぇと、あれ?何の話をしていたんだっけ?今日は大福を渡すために来たはずで、何でこんなに口説かれてるみたいなことになってるんだろう。 「フミさん、明日は忙しい?ここに来る時間も無い?」 「そ、そんなことは、ありません、けど」 「じゃあ、ここで待ってる」  彼はそう言うと空いているほうの手で自分のズボンのポケットをまさぐり、そこから取り出したキーホルダーをこちらに手渡してくる。 「これは?」 「あげる。これから持ち歩いてくれるとうれしい」  そう言われて渡されたキーホルダーを見ると、チェーンの先にはギターのキーピックのようなものがついていた。 「じゃあまた明日ね」 「え、あぁ、はい。また明日」  混乱したままキーピックを見ていると彼がそう言って掴んでいた手をすっと離す。その瞬間、少し寂しいような感覚に襲われたけれど彼を呼び止めることは出来ず、また私は呆然とその背中を見送ることしかできなかった。 五話につづく https://estar.jp/_novel_view?w=25285118
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