入学

38/38
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
「どうでしょうか?」  桃色の髪の女性が話しかける。 「まさかサイトゥを倒してしまうなんて思わなかったわ。  さすがの審美眼ね、モメル。  賞賛しかないわ」 「お褒めに預かり光栄でございます」  窓から外を見つめる女性。  その女性の背中に向けて、メイドのモメルは謝辞を述べた。 「それに久しぶりにサイトゥの短剣も見れましたしね」 「サイトゥ様の短剣は奥の手にして、彼の真の姿。  これを引き出させたのも評価に値する。  ノムだけでなく、エレナの魅力も。  きっと他の教授の方々にも届いたでしょう」 「そうね」  窓際の女性が振り向く。  床に届きそうな長さ、汚れのない純白の髪。  それが窓から差し込む光を反射してキラキラと輝く。 「サイトゥの短剣。  以前見たときと違っていた。  見た目だけではない。  性能が大きく向上している」 「本当にですか?」 「古き栄光にこだわらない。  常に新しいものを求める。  力も。  知識も。  そう、それは彼だけではない。  この学院、全ての学者に言えること。  そう。  だからこそ。  私達は強い」 「そうですね」 「そして彼女達2人は、私達研究員に新しい刺激を与えてくれるでしょう」 「では、彼女達は合格、ということでよろしいのですね」 「答えがわかっているのに確認するの?  そう。  では答え方を変えましょう。  あなたがどうしたいか。  それで判断してよいわ」 「ありがとうございます。  それでは早速ではありますが、彼女達に声を掛けてきます」 「よろしくね」 「はい。  では失礼いたします。  アルティリス様」
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!