68人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
レイナさんは、漏出魔力を隠さない。
だからこそ、わかったことがある。
彼女と私の魔術的な力量は、ほぼ互角。
どちらが先に回転合成を成功させてもおかしくないだろう。
ただ、彼女はそんなことは知ったことじゃない、といった感じ。
私の方は全く気にせず、チラ見すらせず、修行に集中している。
31回目の試行に入ろうとすると、教官、および鎖骨鯨の両名は帰っていった。
去り際に教官が、言葉をかけてくれる。
「コアを合成するには、コアの従属情報を強化する必要がある。
これを実現するためには、何度も試行を繰り返すしかない。
『できない』という言葉を脳内から排除しろ。
簡単には実現できないのは最初からわかっている。
嘘でもいいから『できる』と信じろ。
それが正解だ」
この人。
怠惰なのか熱血なのかよくわからん。
ただ『いい人』であることだけはよくわかった。
『ありがとうございます』。
その言葉は私からだけでなく、レイナからも生まれた。
*****
最初のコメントを投稿しよう!