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夕刻。
50回目を超えてから試行回数を数えるのをやめたので詳細な回数は不明だが、100回は超えたであろう試行。
それはレイナも同じだ。
ノムは中庭中央、木陰のベンチに座って本を読んでいる。
一度研究院の外に出て、隣の図書館から借りてきたそうだ。
『研究院関係者ならばレンタル可能』。
その権利を早速利用したのだ。
何の本かはわからないが、おそらく、アルティリス氏の書籍だと思われる。
限られた時間を何に使うか、それは各々の自由。
尊敬する学者先生の書籍を読むこと、ノムはそれに高い優先度を割り当てたのだ。
本の世界に没入している。
そんなノムに近づいて、私は緩やかに囁いた。
「できたよ」
ノムが本を閉じ、首を一度縦に振った。
そしてわずかに微笑み私を見つめる。
「見せるね」
ベンチに置いてあった黄緑色の長髪のメイドさんが差し入れてくれた水を全て飲み干すと、私は元の場所に戻った。
深呼吸の後、3点のコアを作成。
それが淡く青色に光っている。
属性は雷。
三点収束、トライスパーク。
そしてコアが動き出す。
視覚による判断が難しいほどに速く、高速回転したコア。
それが。
中央で、1つにまとまった。
成功だ。
放出!
したら、施設を破壊してま・ず・い・の・で。
徐々に魔力を空間中に解放することにしましょうか。
!!
その瞬間。
私の第六感が、警鐘を大音量で鳴らす。
やばいやばいやばいやばい。
何が?
何が?!
何が!!!
脳内で結論がでる前に、私はその危険を感じる方向に向けて、回転合成で生成した雷の魔力を放出した。
そして、すぐにやってくる衝撃音。
この時点で、私は状況を理解した。
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