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「ハローハロー」
そんなバカっぽかわいい挨拶で登場したのは、鎖骨麗しきエミュ先輩。
その彼女を追いかけるようにモノクル・ホエール先輩がやってきた。
「御足労頂き、誠にありがたくおもいますよぉ」
私は、丁寧さとフレンドリーさを兼ね備えた謝辞を述べる。
そう。
昨日は聞けなかった、学園についてのあれやこれを、めいいっぱい思う存分に質問し、スッキリとするためにお呼び立てしていたのだ。
ノムも軽くお辞儀をし、感謝の念を伝えようとしている。
ここで話題を変えさせてください。
今、エレナ、ノム、エミュ、ホエールが集まったこの場所。
ここは『喫茶世界樹』という名前の瀟洒(しょうしゃ)なカフェ。
エミュ先輩の行き付けらしく、おしゃべりの場として指定されたのだ。
大都会の中に存在する癒しの場所。
至るところに配置された緑鮮やかな観葉植物が、窓から差し込む光に当たり、光合成をせんかのように温かく光る。
まるで木漏れ日が作り出されているかのようだ。
店内を見渡すと、コーヒーカップからふわりふわりと湯気が立ち上ぼる。
その席に座っているご婦人は、厚手の書籍を重そうに持ちながらも、本の世界へ完全に没入しているようであった。
数日後、自分も彼女と同じ状態になるだろう。
現時点までの短い時間で、私はすっかりこのお店のファンになってしまっていた。
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