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「ではまず1つ目の不思議だ」
ノムはメニュー表を見終えたらしく、すでにエミュ先輩の話を聞く体勢を整えていた。
ホエール先輩を含めた3人がエミュ先輩を見つめる。
「『図書館の秘密の書棚』の噂だ」
いきなり知ってるやつだ!
それは私たちも気になっていたのですよぉ!
「第一図書館のどこかに、隠された秘密の書棚があるらしい。
その書棚には、今は忘れられた古代魔術の魔導書や、悪魔の魔力が定着したグリモワールが納められている、とも言われている」
「ふんふん」
「私の調査でわかっていることは2つ。
1つ目は『あったはずの書籍が突然なくなることがある』ということ。
この図書館の貸し出しサービスは、研究院関係者しか利用できない。
また返却期限もある。
必ず一定期間おきに元の書棚に本が戻ってくるははずなんだ。
それなのに、私の読みたかった本が行方不明になってるんだよ」
「行方不明、ですか?」
「この図書館のスタッフはみな優秀さ。
アルト君を含めてね。
本を喪失させるってのは、あまりないことなんだ。
でも、私の探している本に関しては、みんながみんなそろって『知らない』という。
ただの本ならそれでいいさ。
でも私が探してる本は、この学院の教授クリクラ様が書いた、たいへんに貴重な書籍なんだよ。
なんかさ。
違和感が、すごいんだ」
「なるほどですね」
エミュにとってのそのクリクラ教授の書籍は、
ノムにとってのアルティリス氏の書籍のような関係なのだ。
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