課外1:喫茶世界樹と学院七不思議

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「ではまず1つ目の不思議だ」  ノムはメニュー表を見終えたらしく、すでにエミュ先輩の話を聞く体勢を整えていた。  ホエール先輩を含めた3人がエミュ先輩を見つめる。 「『図書館の秘密の書棚』の噂だ」  いきなり知ってるやつだ!  それは私たちも気になっていたのですよぉ! 「第一図書館のどこかに、隠された秘密の書棚があるらしい。  その書棚には、今は忘れられた古代魔術の魔導書や、悪魔の魔力が定着したグリモワールが納められている、とも言われている」 「ふんふん」 「私の調査でわかっていることは2つ。  1つ目は『あったはずの書籍が突然なくなることがある』ということ。  この図書館の貸し出しサービスは、研究院関係者しか利用できない。  また返却期限もある。  必ず一定期間おきに元の書棚に本が戻ってくるははずなんだ。  それなのに、私の読みたかった本が行方不明になってるんだよ」 「行方不明、ですか?」 「この図書館のスタッフはみな優秀さ。  アルト君を含めてね。  本を喪失させるってのは、あまりないことなんだ。  でも、私の探している本に関しては、みんながみんなそろって『知らない』という。  ただの本ならそれでいいさ。  でも私が探してる本は、この学院の教授クリクラ様が書いた、たいへんに貴重な書籍なんだよ。  なんかさ。  違和感が、すごいんだ」 「なるほどですね」  エミュにとってのそのクリクラ教授の書籍は、  ノムにとってのアルティリス氏の書籍のような関係なのだ。
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