課外1:喫茶世界樹と学院七不思議

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「2つ目。  それは『司書』の存在だよ」 「アルト君は司書『見習い』っていってましたね」 「そうさ。  その上に司書様がいる。  この図書館で最も権威があるのは司書様さ。  でもこの人は、全く人の前に姿を見せないんだ。  名前すらも、性別すらも不明」 「司書様、ですか・・・」 「でも、その司書様について、皆に周知されていることが2つだけある。  その1つは、『この司書様こそが、この学院で最強の魔術師である』ということさ。  通称、『図書館の大魔術師』。  この図書館の守り神的な存在でもあるんだ」 「最強!」  ノムが敬愛するアルティリス氏。  それを越える存在であると考えると・・・。  化け物、でしかない。 「でもこの話には続きがある。  2つ目。  それは、『司書様は図書館の外に出れない』だよ」 「なんで、でしょうか?」 「わからないね。  そういう呪いではないか。  そういう人もいるよ。  だから司書様は、図書館の外での事象には干渉できないんだ」 「まさに、『図書館の』、守り神、なんですね」 「そう。  そして、司書様が秘密の書棚を守り、監視している、とも言われている。  これが1つ目。  『秘密の書棚』の噂さ」  図書館がこの学園で最も安全な場所なのかもしれない。  まあ、ろくに姿を表さない引きこもり司書さんが、都合よく助けてくれるかはわからないが。 「んじゃぁ、2つ目ね~。  2つ目の不思議は、『姿なき学院長』さ」 「学院長、ですか」 「実は今、この学院には学院長がいないんだよ。  『ジョセフ』っていう、ボケかけたじいさんがいるんだけど。  この人が『学院長代理』をやってる。  そのじいさんは言わば『腹話術師の人形』。  何者かがジョセフのじいさんを操って、学院長の代わりをやらせてるのさ」
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