課外1:喫茶世界樹と学院七不思議

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「さあ、どんどんいこう。  4つ目の不思議だよ。  4つ目は、『賢者の石』さ」 「賢者の石!?」 「名前くらいは聞いたことがあるだろう」 「あります、けど・・・。  そんなものが実在するんですか、ねぇ?」 「さぁねぇ、どだろねぇ」  エミュ先輩は魔女帽子の淵をクニクニしながら、ふわふわとした釈然としない受け答えで返した。  焦らしプレイなの? 「エレナは、『賢者の石』って聞くと、どんなものを思い浮かべる?」 「無から有を創ることができる神秘の魔導具。  鉄を金に変えたり、不老不死の薬を作ったり。  そして。  もしも、『魔力』も作れるのなら、『無限の魔力』が実現できる。  それは、所持するものを『最強』の存在にするのに十分な能力。  危険すぎる代物(しろもの)」 「どうも。  いい回答だ。  では、今のエレナの意見についてどう思う、ノム。  信じる?」 「む。  ありえない。  理由は単純。  『創造術』は『秘術』だから。  以上」 「その通りだよ、ノム」  創造術とは、無から有を創り出す術のこと。  秘術とは、絶対に実現できないと言われている術のこと。  つまり創造術は絶対に実現できず、無から有を作り出せるという『賢者の石』の能力は物理理論上実現しえない、そう言っているのだ。 「賢者の石ってのも、御伽話(おとぎばなし)の産物なんだよね」  私はため息をつくようにそう呟(つぶや)いた。  でも、ノムの回答でいろいろと納得。  そもそもそんなものが存在していたら、この世界はもっと大きく動いている。  良い方向か、悪い方向か。  それはわからないけれども。
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