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「さて、ここまでが前置きだ。
こっからが本題ね。
無から有は作り出せません。
でもよ。
有から有は作れんのよね」
「質量保存の法則、エネルギー保存の法則、等価交換の原則ってやつらですね」
ノムがいいそうなことを、先に口走ったエレナ。
まあ、ノムの受け売りなんですけどね。
「イエス、イエス。
それらの法則が成り立つ条件下ならば、どんなことでも実現できる可能性がある、ってことなんだよね」
「絶対にできないことはできなけど、とてつもなく難しいことならできる。
賢者の石とは、この後者を実現するための魔導具なのですね」
ノムが議論の本質をつく。
エミュ先輩は満足げな顔をたたえ、大きく3度うなづいた。
呼吸を整えると、彼女は話を続けた。
「ちょっと話題を変えるね。
『錬金術』について話そう。
さっきまでの議論で結論は出てるから理由は省略するけど、鉄から金は作れません」
「オッケーです」
「この世界で『錬金術』っていうと、それはおおよそ『魔導材料工学』のことになるんだ。
んで、この『魔導材料工学』って学問だけど、これは魔導効率が高い武器や防具を作るのに必要な金属、合金を製造することを研究するものなのだよ。
金属を、練(ね)るための、術(すべ)、とも表現できる。
そして美少女錬金術師見習いのこの私は、この魔導材料工学に高いインテレストを持っているのさ」
私は、自分の武器の剣を見つめた。
大きな青のコアが1つと、小さな青のコアが3つ、手元の鍔(つば)の部分に取り付けられている。
魔導工学の天才少年シエルが作ってくれた傑作。
『ブルーティッシュ・エッジ』と命名された、青の剣。
この剣にも、魔導材料工学のエッセンスが多々取り入れられているのは間違いない。
それはノムの武器『聖杖(せいじょう)サザンクロス』も同じだ。
「ここで問題です。
錬金術にとって最も重要なことは何でしょう?」
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