課外1:喫茶世界樹と学院七不思議

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「んーと」 「はい時間切れ」 「早いですよ」  ノムがなんか言おうとしたが、それを追い越してエミュ先輩が正解を発表する。  自分で答えを言いたかったのかもしれない。 「熱、だよ」 「熱ですか」 「インゴット、合金を製造するには、金属を一度溶かす必要があるんだけど、この時必要になる炎の温度は、1000度を優に超える、とんでもないエネルギーが必要になるのさ。  融点ね。  人間1人燃やすのとは訳も桁も違う。  攻撃魔法として有用な炎術を実現できていたとしても、それが錬金術にとって十分な魔力量であるかはわからないのさ。  錬金術師にとって、炎術は避けて通れないものなんだよ」 「なるほどですね」 「さあ、ここで再登場してもらおう。  賢者の石にね。  もう私が何を言いたいかはわかるね。  つまり、賢者の石があれば、金属を自由に溶かし、混ぜ、そして整形することができる。  そしてその先に待つのは、『最強の武器』、その存在なんだよ」 「だから賢者の石が欲しいんですね」  鉄から金が作れなくても、不老不死の薬が作れなくても。  これは、本当に夢のような話なのだ。 「だからこそ、君たちにはやってもらいたい。  賢者の石を・・・。  作って欲しいんだ!」 「いやいや!  無理でしょ!!」  とんでもないことを突如として言い放ったエミュ先輩。  作るって、あんた。  あたまだいじょぶかなぁ? 「普通は、『探してきて』、じゃないんですか?」 「存在しないものは探せないね。  それに君たち2人だけで作れ、とは言ってない。  この研究院の人たちに協力を依頼して、彼らとともに作って欲しい。  もちろん、その中には私も含まれる」 「そんな簡単に言いますけど」
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