68人が本棚に入れています
本棚に追加
「んーと」
「はい時間切れ」
「早いですよ」
ノムがなんか言おうとしたが、それを追い越してエミュ先輩が正解を発表する。
自分で答えを言いたかったのかもしれない。
「熱、だよ」
「熱ですか」
「インゴット、合金を製造するには、金属を一度溶かす必要があるんだけど、この時必要になる炎の温度は、1000度を優に超える、とんでもないエネルギーが必要になるのさ。
融点ね。
人間1人燃やすのとは訳も桁も違う。
攻撃魔法として有用な炎術を実現できていたとしても、それが錬金術にとって十分な魔力量であるかはわからないのさ。
錬金術師にとって、炎術は避けて通れないものなんだよ」
「なるほどですね」
「さあ、ここで再登場してもらおう。
賢者の石にね。
もう私が何を言いたいかはわかるね。
つまり、賢者の石があれば、金属を自由に溶かし、混ぜ、そして整形することができる。
そしてその先に待つのは、『最強の武器』、その存在なんだよ」
「だから賢者の石が欲しいんですね」
鉄から金が作れなくても、不老不死の薬が作れなくても。
これは、本当に夢のような話なのだ。
「だからこそ、君たちにはやってもらいたい。
賢者の石を・・・。
作って欲しいんだ!」
「いやいや!
無理でしょ!!」
とんでもないことを突如として言い放ったエミュ先輩。
作るって、あんた。
あたまだいじょぶかなぁ?
「普通は、『探してきて』、じゃないんですか?」
「存在しないものは探せないね。
それに君たち2人だけで作れ、とは言ってない。
この研究院の人たちに協力を依頼して、彼らとともに作って欲しい。
もちろん、その中には私も含まれる」
「そんな簡単に言いますけど」
最初のコメントを投稿しよう!