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「この錬金術の分野で、最先端を走っているのは魔導工学専攻のクリクラ教授。
まずは彼女に話を聞いてみて欲しいんだ」
「自分で聞けばいいじゃないですか」
「だって教えてくれないんだもん。
こんなに敬愛してるのに。
なかなか私の愛が伝わらないんだ」
「愛ですか」
「みんなで作ろう、賢者の石!
みんなで作ろう、賢者の石!
ほら、エレナも早く言って!」
なんかテンションがおかし高くなった先輩に、今は付き合うしかないようだ。
「賢者の石~、おー」
私は軽く右手を突き上げて、ヘラヘラと笑った。
その隣でノムがちょこんと右手を上げていた。
かわいい。
「んじゃあ、次の不思議ね」
「先輩、マイペースっすね」
「5つ目の不思議。
それは、『学院地下の大迷宮』さ」
「学院の地下になんかあるんですね」
「ただし何があるかはわからない。
存在は確かだけど、入り口が封鎖されているんだよ。
危険だ、っていってね」
「崩落しそうなんですか?」
「魔物がいるんだよ」
「ダメでしょ。
突然地下から魔物が湧き出してくるんじゃないですか、学院内に」
「それはないよ。
過去の経験上はね。
この学院は月の女王の時代に建築され、それを改築改築して維持されてきたものなんだ。
そのころから地下空間は存在したと言われている。
でも本日まで、何かしらの事案が発生したという痕跡は残っていない。
・・・。
なんの理由で地下空間を作ったのか。
なんで魔物がいるのか。
全てが不可思議な謎。
まさに不思議だろ」
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