にたもの兄弟

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 僕はさも自分が愛する女性を連れて行くように、マネキンをエスコートして、翌日、母さんのいる病室まで連れて行った。  終わりを迎える患者さんは、個室に通されることが病院の決まりになっているらしく、僕と母さん、そしてマネキン以外には誰もいなかった。用事がなければ、見回り以外にナースも来ない。  母さんに紹介したら、とても喜んでくれた。  結婚式は挙げられないから、せめて白い服を着てきたから、ここで僕たちを認めて欲しいと告げた。  もちろんよ、と母さんはマネキンの手を握って「ずいぶんと冷たいこと、手が冷たい方は心が温かいのよ。どうか、息子をよろしくね」と嬉しそうに語りかけてくれた。  薬がきいていた母さんには、物静かできれいな女性に見えたらしく、本当に嬉しそうに、珍しく頬を桃色に染めてはしゃいでいたよ。
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