第三夜

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 なんとも言えない居心地の悪さに、そう言い残してリビングに逃げるように戻った俺は、ため息をついた。  急がなくてもいいって……俺、何言ってんの。  急いでるよ。めっちゃ急いでる。  余裕無いのは格好悪いけれど、余裕なんて全く無いのに。  先週からおあずけ喰らってるし、あと2週間で転勤だと思うと悠長に構えてる暇だってない。  何よりも、先週の答えと今の答えが同じだって保証なんてない。  先週はあっさり進んだし、話していて嫌われているとかそんな気配は感じないから、何となく大丈夫なんだろうと思っていた。  酒を飲んでから話して、また井上に忘れられたら嫌なのは確かだけど、ちゃんと考えられるからこそ、断られる可能性だってあることを忘れていた。  実際、俺自身だって”同僚”だからずっと対象外にしていたんだから。  井上にとって、同僚が対象外なら……?  いっそ先週既成事実でも突きつけた方が良かったのか?  つうか、そもそもなんで忘れんだよ。  色々な事を逡巡していると、キッチンから戻ってきた井上が、俺の隣にぺたんと座った。
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