189人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー……よかった。酔った勢いって言われなくて」
「え?」
酔った勢いって何の事? と井上が怪訝そうな声を上げる。
「2回目」
「何が?」
「告ったの。先週の井上が忘れたから」
「え、ちょっと待って。なにそ…」
言葉を遮って少し強引に唇を重ねると、井上は拒むこと無く、応えてくる。1週間ぶりに触れた井上の唇は思っていた以上に心地よくて、角度を変えてもう一度重ねる。
「だって、覚えてないだろ?」
「え? えっと……それは……」
「なんで忘れんの?」
「なんでって…」
「俺ちゃんと好きって言ったじゃん」
「だって……」
「井上だって言ったくせに」
「ねぇ、それ……」
「自分だけ忘れてずるいだろ」
「そういうつもりじゃ……」
「つーか、前置き長すぎてフラれたかと思った」
「え……?」
キスの合間に言いたいことだけ言って、井上には答えを言わせずに唇を何度も重ね合わせる。困惑している様だけど、抗うつもりは無いらしく、腕の中の井上は俺の胸にその身体を預けてきていた。
最初のコメントを投稿しよう!