916人が本棚に入れています
本棚に追加
そこには、人がいっぱいだった。
とても人が多く何かワイワイと賑わっていた。
何かお祭りをしていたのだろうか。
表通りには屋台のようなモノが沢山あって、
様々な人々が行き交うように立ち寄っていた。
しかし屋台は並んでいても、
まだ組み立てられていない屋台であったり、
現在まさに組み立てている最中の人達もいる。
その時のアタシは、
目の前にある一つの屋台に視線が釘付けになった。
串に何かを刺して焼く、
食べ物を扱っている屋台だった。
色んな人がその屋台で食べ物を買っていた。
その時に初めて『私』は、
この世界の金銭という物を見たと思う。
けれどアタシは、お金なんて持っているはずがない。
とても手が届かない食べ物。
それが表通りにあるモノだった。
じっと屋台を見ていた時に、それは起こった。
誰かが買った食べ物が串に刺したまま、
地面に落ちたのだ。
落とした食べ物を見ながら買った誰かが何か言って、
そのまま店の亭主と話している。
その時、アタシは動いてしまった。
落とした食べ物は、つまりゴミ。
だから食べてもいい。
幾数十日の経験と、
食べ物を欲する本能が体を動かしてしまった。
アタシは夢中で駆け寄り、
地面に落ちた食べ物を食べた。
最初のコメントを投稿しよう!