第001話 

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そこには、人がいっぱいだった。 とても人が多く何かワイワイと賑わっていた。 何かお祭りをしていたのだろうか。 表通りには屋台のようなモノが沢山あって、 様々な人々が行き交うように立ち寄っていた。 しかし屋台は並んでいても、 まだ組み立てられていない屋台であったり、 現在まさに組み立てている最中の人達もいる。 その時のアタシは、 目の前にある一つの屋台に視線が釘付けになった。 串に何かを刺して焼く、 食べ物を扱っている屋台だった。 色んな人がその屋台で食べ物を買っていた。 その時に初めて『私』は、 この世界の金銭という物を見たと思う。 けれどアタシは、お金なんて持っているはずがない。 とても手が届かない食べ物。 それが表通りにあるモノだった。 じっと屋台を見ていた時に、それは起こった。 誰かが買った食べ物が串に刺したまま、 地面に落ちたのだ。 落とした食べ物を見ながら買った誰かが何か言って、 そのまま店の亭主と話している。 その時、アタシは動いてしまった。 落とした食べ物は、つまりゴミ。 だから食べてもいい。 幾数十日の経験と、 食べ物を欲する本能が体を動かしてしまった。 アタシは夢中で駆け寄り、 地面に落ちた食べ物を食べた。     
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