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砂利がついてザリザリ・ゴリゴリした食感だったけれど、
そんな事も気にしていられないほど、
アタシは夢中で食べた。
周りで叫ぶような喧騒が聞こえた気がしたけど、
そんな事より食べたかった。
けれど何口目か分からない時に、
体に衝撃が走った。
体が少し浮き、
掴んでいたはずの串が手から離れて、
その場から吹き飛んだ。
浮いた体が地面に再度着いた時、
その衝撃と共にゴロゴロと転がって、
転がりが止まると同時に、
何か起こったか理解するより先に、
胸からせり上がるような悪寒を感じた。
その瞬間にアタシは、
今さっきまで食べた物を吐いてしまった。
胃液と共に出てきた串焼きの肉と、
更に続く嘔吐で何かが口から吐き出てきた。
それはとても赤い血だった。
赤い血と出てきた食べ物と胃液を見ながら、
ぐるぐると回る意識の中、
何か大きな声が私に迫ってくる。
掠れた意識でそちらに首と目を動かした。
あの食べ物を扱っていた屋台のおじさんだった。
おじさんと言っても、
肌は緑色で耳も尖っていて、
髪が無く剥げていた。
後で聞いたが、ゴブリンという種族らしい。
身長はそれほど高くないけれど、
今のアタシの倍ほどに見える身長と体躯で、
アタシは力いっぱい蹴られたのだと、
掠れた意識で自覚した。
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