第002話 第零章二節:魔族の村

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そんな男もヴェルス村の誕生祭が近づくと、 このヴェルズ村まで来てくれる。 しかも山で捕れた魔物達の素材や燻製した肉、 たまに山から下りてくる時に、 襲い掛かってくる魔物を返り討ちにして、 新鮮なまま届けてくれる事もある。 村の男共が束になって倒せるような魔物を、 素手で瞬く間に倒しちまうのだから、 凄すぎて毎回持ってきてくれる土産に、 村の男達が雄叫びを上げるんだ。 俺は魔物狩りが苦手だ。 自分がゴブリンだから、 という言い訳をするつもりはない。 ただ、ゴブリンが単独での戦闘や狩猟に、 向いてない種族なのも確かなんだ。 でも俺は結構手先が器用だ。 それだけは自慢できる。 親父は細工職人で、 鉱石や宝石なんかをドワーフ顔負けの器用さで加工する。 お袋はこの町で医者をしていて手先が器用だから、 縫合手術や色んな医学薬や医療魔術を学んで使ってる。 俺の職業はといえば、 日常ではこうやって屋台を出すことだ。 屋台のメニューは猪肉の串焼きと魚肉の串焼き、 熊肉の串焼き、肉団子の串焼きなど、 たまに汁物や串焼き以外の料理も作るが、 基本的には色んな食材を串に刺して焼いて食べるという、 実にシンプルで食べやすい食べ物の屋台を出していた。 この店の豊富な食材は、     
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