第002話 第零章二節:魔族の村

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で、そんな気楽な奴等と500年目。 つまり500回目の村の誕生祭だ。 楽しみたいと思うのは当然だ。 もちろん、力自慢の奴等もいるから、 そういう奴等の為の催し物だってある。 でも、誰も彼もが本気で傷つけ合って力を振りかざしたいわけじゃない。 ただ美味い酒を飲んで美味い物を食って、 パーッと長い人生のうちの1年の締めを、 祝って騒ぎたい。 馬鹿騒ぎをして楽しく生きたい。 隣にいる奴等と、隣に居てくれる奴等と。 それがこのヴェルズ村と、 その村人達である俺のことでもあるワケだ。 * 「そういえばジャッカス、聞いたか?」 「ん?なんだピーグ。また(かみ)さんから聞いた噂話か?」 「違うって、ちょっと町の連中で噂になっててよ」 隣で出店の準備をしていた豚顔のピーグが、 ジャッカスに声をかける。 この2人は出店のお馴染みで、 母親同士が友達でよく幼い頃は遊んだものだ。 ピーグはジャッカスほど器用な手先ではないが、 育てている果実で作るワインや、 甘い果汁酒を作る管理が上手い。 ピーグの種族である豚獣(ポーク)族は、 元来綺麗好きだっていうのもあるだろうが、 細かい管理や保存なんかは、 豚獣(ポーク)族にちゃんと任せておくときっちりやってくれる。 美味いワインや飲み物と、     
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