第002話 第零章二節:魔族の村

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「げっ、マジかよ」 俺等は南地区の広場に通じる通りで出店してるんだが、 結構裏道に続く通路ってのが近いんだ。 俺の屋台の目の前にある通路だって、 少し行けば裏道に続いてる。 ゴクリと喉を鳴らして、 裏道の通路を見てる俺に、 ピーグが続けて言った。 「明日は西地区調べるらしいし、明日は俺、農園見てくっから。お前だけでここの店するんだろ?気をつけろよ」 「お、おう……」 そう言ってピーグは心配するように、 ジャッカスに忠告して、 店に来た客に飲み物を渡していた。 幼馴染みのバスラほどではないが、 ジャッカスは気が小さいところがあった。 ゴブリンという種族は基本的に戦闘に向かない。 単体より集団の戦いで活躍するタイプだ。 武器は一応扱えるが、 腕力も脚力も身体能力も然程は高くない。 弱い魔物でも1人で狩るにも、 死に物狂いでやって勝てれば恩の字なのだ。 その魔物が村に入り込んで、 何処かに潜んでいるのだと分かると、 途端に身震いを起こしてしまいそうになる。     
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