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端から見れば独り言をブツブツと零すジークが、
勝手に苛立つように怒りながら呟き、
かと思えば冷静な表情で諭すように呟き、
最後には呆れるように溜息を吐き出して呟くと、
そのまま顔を上げたジークが黒い機械に顔を向け、
声を張り上げるように伝えた。
「『音声認証コード、読み取り開始!』」
『認証コード受領。我ガ皇帝陛下。現在ノ計画進行状況ハ――……』
「『計画を停止させろ』」
『――……計画ノ進行ガ開始サレテイマス。本当ニ中止ナサイマスカ?』
「『あぁ、計画はリセットだ。今は待機しろ』」
『了解シマシタ。計画凍結準備ヲ開始。射出済ノ工作機ヲ順次回収イタシマス』
ジークが英語を発して黒い機械に命じると、
今まで要石に取り付いていた小型機械が、
赤い石から発する光を止め、
要石から戻るように黒い機械へと戻っていく。
足元を通過する黒い機械を目にしながら、
ジークとアイリが再び視線を交えつつ、
機械が停止していく事に安心するアイリに向けて、
ジークが微笑みながら話し掛けた。
その微笑みは自然と、
ミハエルだった時よりも柔らかく感じる。
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