第137話

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「これで大結界への干渉は、止まったはずだ。まだ要石の碑文そのものを改変しているわけじゃないから、ライアット式の結界術式なら自動的に術式を再生させて、大結界も修復されると思うよ」 「……ジークさん、ですよね?」 「うん、僕はジーク。さっきまで……というより、ここに来るまで君と話していたのは、ミハエルで間違いはないよ」 「ジークさんは、ミハエルさんとは、いつもさっきみたいに話してるんですか?」 「ああいう話し方は、時々だけ。いつもは、寝ている時に話しているくらいだよ。……ごめん、アイリ。さっきまで僕は気を失ってて、僕が意識を失っている間に、ミハエルが意識の表層意識に出ていたんだ。こんな事は僕等も初めてで、僕等も少し、混乱してたんだ」 「こ、混乱って、大丈夫なんですか?」 「大丈夫だよ。……本当はミハエルも、決して悪い人では無いと思う。でも、まさか事を起こそうとするなんて……。ごめん、アイリ」 「い、いえ。ジークさんが平気なら、良かったです」 謝るジークの謝罪を素直に受けたアイリは、 ジークが自身の肉体の主導権を戻した事を確認し、 安堵の息を漏らす。 そうした中でジークが深く目を閉じ、 再び目を開けた次の時には、 アイリに伝えるように話した。 「……ミハエルは、また僕の心の奥に戻ったよ。結局、僕には何も教えてくれなかった」 「え?」     
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