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それが前世の『私』の最後の記憶。
周りの事は覚えてるのに私自身の事を覚えてないのは、
私自身があまり主体的に考えたり、
動いたりしたことが無いからだろう。
それに幼すぎたというのもあるかもしれない。
小学校にまでは通っていた記憶があるので、
中学校に進学する前にこうなったんだと思う。
結局、私が前世で得ていた知識は、
誰かが生きていく為に必死になって覚えていた知識を、
私が傍で一緒に聞いていただけだった。
私の前世は家族どころか、
私自身に対しても傍観するしかない人生だった。
でも、今だからこそ思う。
私はきっと家族が大好きだった。
厳格だったけどゴルフの時には上機嫌で、
ゴルフクラブの素振りの仕方を教えてくれたお父さん。
ふくよかでお世辞にも綺麗とは言えないけれど、
とても優しかったお母さん。
足を悪くしていて皺くちゃの顔だったけど、
両親に内緒で冷蔵庫にある甘い物をくれたお婆ちゃん。
歴史マニアでオタクで部屋を汚くすると怒るけど、
いっぱい遊んでくれたお兄ちゃん。
お母さん似でふくよかだったけれど、
いっぱい外に遊びに連れて行ってくれたお姉ちゃん。
みんな、私の事を大事にしてくれた。
不幸が始まって、家族の皆は変わってしまったけれど、
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