第000話 第零章一節:プロローグ

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それが前世の『私』の最後の記憶。 周りの事は覚えてるのに私自身の事を覚えてないのは、 私自身があまり主体的に考えたり、 動いたりしたことが無いからだろう。 それに幼すぎたというのもあるかもしれない。 小学校にまでは通っていた記憶があるので、 中学校に進学する前にこうなったんだと思う。 結局、私が前世で得ていた知識は、 誰かが生きていく為に必死になって覚えていた知識を、 私が傍で一緒に聞いていただけだった。 私の前世は家族どころか、 私自身に対しても傍観するしかない人生だった。 でも、今だからこそ思う。 私はきっと家族が大好きだった。 厳格だったけどゴルフの時には上機嫌で、 ゴルフクラブの素振りの仕方を教えてくれたお父さん。 ふくよかでお世辞にも綺麗とは言えないけれど、 とても優しかったお母さん。 足を悪くしていて(しわ)くちゃの顔だったけど、 両親に内緒で冷蔵庫にある甘い物をくれたお婆ちゃん。 歴史マニアでオタクで部屋を汚くすると怒るけど、 いっぱい遊んでくれたお兄ちゃん。 お母さん似でふくよかだったけれど、 いっぱい外に遊びに連れて行ってくれたお姉ちゃん。 みんな、私の事を大事にしてくれた。 不幸が始まって、家族の皆は変わってしまったけれど、     
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