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ある日、アタシはいつものように、
ゴミ漁りをして食べ物を探していた。
できるだけ周りを汚さないように、
そっとゴミを漁って食べられる物を探す。
それが誰にも迷惑をかけないようにする、
最善の方法だと今までの経験で理解していた。
でもその日を含めてずっと、
食べられる物が見つけられなかった。
裏道にも特に何も落ちていなくて、
最近は日照りが強く汚泥も無い。
既に何日食べていないのか考えたが、
そう考えられるほどの思考力も持てないほど、
アタシは切羽詰まった状況だった。
そんな時、とても美味しそうな匂いがした。
その方角には明るく眩しい、表通りがあった。
そっちは幼いながらに、
近づいてはいけない領域だと認識していても、
本能がそちらにヨタヨタと足を運ばせていた。
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