はじめに

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はじめに

 私は39歳の平凡な女性です。  メイクして好きな洋服を着れる。  鏡を直視できる。  好きな場所に遠くまで出掛けることができる。  好きなものを自由に食べて、食べたくないものを無理矢理食べなくていい。  毎日好きなだけお風呂に入れる。  意思表示できる。  顔色を伺わなくていい。  自分の時間を人のために費やさなくてもいい。  自分を犠牲にして生きていかなくていい。  自分のために・・・生きる。  これらのことは普通ですよね?  私にとっては普通のことではありませんでした。  世間一般的には親は子供の成長を見守り、時に叱り時に共に涙して無償の愛を注いでくれるものだと。  私は親に無償の愛を与えてもらった記憶は一切ありません。  常に条件付きの愛でした。  親という名の未熟な人間達のせいで、私の半生は滅茶苦茶でした。  大家族の中で自分を犠牲にして生きてきました。  心が病んでしまうまで…。  現在(いま)は完治した『強迫性障害』。  現在闘病中の難病『線維筋痛症‐せんいきんつうしょう』。  私には親がいるのに親がいません。  それでもいいんです。  幸せなんです。  だって、私の側には無償の愛を与えてくれる存在があるから。  無償の愛を与えてくれたのは、親でも兄弟でもなく血の繋がりもない赤の他人でした―――
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