2798人が本棚に入れています
本棚に追加
/999ページ
目の前には、お母さん(継母)がいるのだ。
・・・・・・。
下っ腹が出ていて、低身長で髪の毛はいつも後ろに結わいていて、地味な茶色のズボンに化粧っけのない冴えないお母さんだ…………!!
「疲れたでしょー?あら!荷物多いじゃないの、持ってあげる!」
「うん、ありがとう、ただいま、あ、これお土産…」
「あら、ありがとう」
「ユキやケンは…?」
「今日はカコ(姉)が面倒見てるよ」
…ユキたちのこと以外は、昨夜見た夢とおんなじだぁ。
「荷物貸しなさい、持つよ」
荷物まで持ってくれた…。
なんだかんだお母さん(継母)なりに私のこと思ってくれているのかな…
初めてのことになんだか少しムズムズ
するけれど、迎えにきてもらえることは
…こんなに嬉しいことなんだ……
帰り道、旅行の話に触れてくる。
「どうだった?楽しかった?」
「うーん…。具合悪かったから、あんまり」
「具合悪かったの!?」
「うん。熱があってちょっと大変だったね」
「熱があったの!?旅行当日に熱計れば良かったねぇ!熱が出るなら行かなくてもよかったのにぃ」
「…………」
熱があったら休ませたのに、ってか!?
まったくも~う・・・
でもなんでだろう?
今日は心の中がポカポカする。
家に着くと、もう大変。
「まあ姉ちゃんおかえりぃ!!」
チビ達が 待ってましたぁ!!と言わんばかりに目の色を輝かせて私(お土産)を待ちかまえていた。
きょうだいが喜ぶ姿を見るのは、例え母親が違おうが嬉しいものだ。
口いっぱいにお菓子を詰め込むユキや
ケンとモコの笑顔が今日は特別可愛く見えた。
一泊二日の修学旅行。
体調も悪くて
嫌な出来事もあったけれど、
自然に触れて美味しい空気と水が何よりの贅沢だった。
この後、家でも学校でも
また何か一波乱待ち受けている。
まず、学校での〝あの出来事〟。
私の原点になる出来事だ。
『自分が表現したもの』を大勢の人に認めてもらえたのは、小学校6年生の時だった。
最初のコメントを投稿しよう!