*修学旅行

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 目の前には、お母さん(継母)がいるのだ。  ・・・・・・。  下っ腹が出ていて、低身長で髪の毛はいつも後ろに結わいていて、地味な茶色のズボンに化粧っけのない冴えないお母さんだ…………!!  「疲れたでしょー?あら!荷物多いじゃないの、持ってあげる!」  「うん、ありがとう、ただいま、あ、これお土産…」  「あら、ありがとう」  「ユキやケンは…?」  「今日はカコ(姉)が面倒見てるよ」  …ユキたちのこと以外は、昨夜見た夢とおんなじだぁ。  「荷物貸しなさい、持つよ」  荷物まで持ってくれた…。  なんだかんだお母さん(継母)なりに私のこと思ってくれているのかな…  初めてのことになんだか少しムズムズ するけれど、迎えにきてもらえることは  …こんなに嬉しいことなんだ……  帰り道、旅行の話に触れてくる。  「どうだった?楽しかった?」  「うーん…。具合悪かったから、あんまり」  「具合悪かったの!?」  「うん。熱があってちょっと大変だったね」  「熱があったの!?旅行当日に熱計れば良かったねぇ!熱が出るなら行かなくてもよかったのにぃ」  「…………」  熱があったら休ませたのに、ってか!?  まったくも~う・・・  でもなんでだろう?  今日は心の中がポカポカする。    家に着くと、もう大変。  「まあ姉ちゃんおかえりぃ!!」  チビ達が 待ってましたぁ!!と言わんばかりに目の色を輝かせて私(お土産)を待ちかまえていた。  きょうだいが喜ぶ姿を見るのは、例え母親が違おうが嬉しいものだ。  口いっぱいにお菓子を詰め込むユキや ケンとモコの笑顔が今日は特別可愛く見えた。  一泊二日の修学旅行。  体調も悪くて  嫌な出来事もあったけれど、  自然に触れて美味しい空気と水が何よりの贅沢だった。    この後、家でも学校でも  また何か一波乱待ち受けている。  まず、学校での〝あの出来事〟。  私の原点になる出来事だ。  『自分が表現したもの』を大勢の人に認めてもらえたのは、小学校6年生の時だった。  
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