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きっとどろぼうは赤ちゃんを…
私にはどろぼうと赤ちゃんの今後が解る。
いや、どろぼうと赤ちゃんには幸せになってほしいという自分の願いがあった。
次のヨコハシ先生の一言が、私の胸の中のウズウズした気持ちを一気に弾けさせた。
「先生はどろぼうと赤ちゃんがどうなったのか続きがとても気になります!
みんなも気になるでしょう。
この物語の続きを書いてみたい人は自分なりの続きを予習ノートに書いてみてください!」
予習ノートに続きを?
書いてみようかな…
私は迷うことなく書くことに決めた。
予習ノートとは、宿題とは他に自分で好きなことを勉強して先生に提出するノートのこと。
私が初めて自分の思いを文章に、物語にしたいと思った。
いわば初めての創作。
…と言っても、単なる自己満に過ぎない。
作品に対する気持ちが強かっただけで書いたのは軽い気持ちだった。
どうやら他にも書いている生徒が何人かいた。
家の中はきょうだいたちが騒がしくて手につかない。
お母さん(継母)に見つかればまたこてんぱんにバカにされるのは目に見えている。
私は休み時間や、放課後を使って書いていった。
迷うことなくスラスラ書けた。
そして書き始めて3日。
「…できたー!」
やっと完成したぁ。
…これをヨコハシ先生に見せるのはちょっと恥ずかしいけど…
大丈夫、他にも書いている子はいる!
私は翌日の朝、『あんず林のどろぼう』の続きが書かれた予習ノートを提出した。
まさか。
まさか私のこの行動が
あんな騒ぎになるなんて――――
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