*すべての始まり

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*すべての始まり

 宮崎県の産婦人科病院。  1980年6月。  雨が降り続ける梅雨の昼下がり。  まだ26歳の若くて美しい母と36歳の男前の父の間に次女としてこの世に誕生した私。  幸せになりたい、なんて贅沢は言わない。  責めて『普通』に『平凡』に生きていけたら・・・    現在(いま)の私ならそれだけを願う。  父は小さな営業会社の社長だった。  社長というくらいだから仕事の実績だけはあったけれど、私生活はだらしない父親。  ギャンブル、女癖の悪さ・・・。  浮気相手は一人や二人じゃなかった。  母は父の浮気を認識しながらも、浮気相手を喫茶店に呼び出して、生まれたばかりの私を見せつけに行くほど、プライドが高く気の強い女。  母の実家は大変裕福だ。  母の母親・・・つまり私の母方の祖母は、母が中学生の頃に若くして亡くなっていた。  母の公務員の父親(祖父)は、再婚して同じく公務員の後妻を迎え入れていた。  つまり、母の母親は、血の繋がらない継母だった。  そんな訳ありの母だからこそ、子供のことを一番に考えるのだろう、と普通なら思うのかもしれない。  そう、普通なら・・・  出会った惚れして交際開始した父と母。     
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