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魔法
アンの言葉は私への慰めだった。
「アン、本当かい?でも今の君は輝いている。幸せな人生を生きてるように見えるが。」
「ありがとう。はい、私は自分の運命を受け入れてるし、いつも真実を生きるようにしているわ。」
「そう、君らしいね。まったく君らしい。私たちは、ある時期交わった放曲線のようなものだったのかい?そうだとしたら、その一瞬に私は感謝する。美しい、かけがえのない時間だった。ありがとう。」
「本当に……私たちの愛は真実だったし、永遠だし、色あせてないわね。」
「やっと今になって、君が本当に愛してくれてたと確信できる。突然行ってしまったから、私の優柔不断さに失望したのだと、ずっと後悔してたんだ。私を赦しに君は来たの?」
「そうかもね。」
彼女は私の手を強く握りしめた。
「ねえ、あとどのくらい生きたいと思う?」
「そうだな、これで君とも会ったし、もう思い残すことはない。明日でも。いや明日ではないな。会社や、財産の始末も。遅くともあと3か月で私の人生は終わるんだ。」
「…リーアム、少しは楽しみなさいよ、自分の自由な人生を。」
「君は変わらないね、アン。本当にいつもそういうね。こんな時もそんなこと言うんだから。
自由な人生か?そう、私は自分の人生を捨てたんだからな。その葬った自由がどんなもんだか、知っても悪くないかもしれない。今からでも遅くないか?」
「そう、これまでの人生に感謝して、もう一つの人生を楽しんでみたら、そしたら癌もなおっちゃうかもしれないわ。」
「それは、ないんだけどな。最終ステージだからな。」
「医者の言うことなんか信じないでね。まず1年、好きなことやりなさいよ。」
「君がいてくれれば。」
彼女は私を見つめて言った。
「私は、いつもあなたの心の中にいるのよ。若いままでね。」
「確かに。私は君を封印したはずだったが、実は君のいるパラレル宇宙を生きてきたような気がする。君は生涯の最初で最後の、最高の女性だよ。」
「ロマンティックね、リーアム。でもそれは奥様に悪いから、そう言ってはダメよ。私たちいい友達。自由に生きてね。約束よ。」
「ああ、それも悪くないな、1年か。どうやって私の寿命を延ばすつもりなんだ?」
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